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Monday, June 1, 2020

妻の愛したピザをひとり親家庭に 店主、同じ境遇「心細さ分かった」 - 西日本新聞

 福岡県久留米市荒木町でピザ店「ダ・シゲッティーノ」を営む永松重則さん(53)は4月から、新型コロナウイルス感染症の影響で苦境に陥るひとり親家庭に、ピザを無料提供している。永松さん自身も今年2月に妻美千子さん(享年52)を亡くし、一人娘の美咲さん(12)と暮らす。「自分がひとり親になって、その心細さが初めて分かった」。同じ境遇の人を支えたいとの思いを込め、妻が愛したピザを焼く。

 永松さんが、憧れのピザ職人を目指してイタリアのナポリに渡ったのは30歳の時。頻繁な人事異動に疲れ、ゼネコンを辞めた直後だった。本場で3年ほど腕を磨いて帰国。東京のイタリア料理店で働く中で、永松さんが作るピザの大ファンになった常連客の美千子さんと39歳で結婚した。翌年、美咲さんが生まれた。

 永松さんは2013年、家族に「古里の久留米で店を持ちたい」と打ち明けた。美咲さんが小学校入学を控えていたこともあり、店が軌道に乗ったら一緒に住むと決め、15年1月、単身で久留米に店を構えた。だが秋に美千子さんの病が判明。小脳が萎縮し言語や歩行に障害が現れる多系統萎縮症で、医師からは「余命10年」と告げられた。

 母子は東京暮らしを続けた。自分も戻るべきか悩む永松さんに、美千子さんは一度も「戻ってきて」とは言わなかった。店の話をすると笑顔で聞いてくれた。「私がピザ作りを諦めれば、妻は自身を責めるだろう」。永松さんは調理場に家族写真を置いて、ピザを焼き続けた。

 車椅子生活になった美千子さんは2月16日に亡くなった。ふさぎ込む美咲さんを連れて永松さんは4月上旬、久留米に戻ったが、コロナ禍もあって店を開ける気にはなれなかった。

 永松さんに再開を決心させたのは、美咲さんの「パパのピザが食べたい」というつぶやき。再開と時を同じくして、休業要請による雇用減や休校に伴う昼食の用意などで、ひとり親家庭が苦境に立たされていると知り無料提供を始めた。

 フェイスブックなどで知ったひとり親家庭が、週末に数組訪れる。ナポリから取り寄せた小麦粉を材料にまき窯で焼く永松さんのピザは、ふんわりした食感が評判だ。「本当に助かる」「永松さんも頑張って」。そんな言葉と感謝の笑顔に元気をもらう。「この店を、ひとり親たちが悩みを分かち合ったり、楽しく話したりできる場所にしたい」

 ダ・シゲッティーノ=0942(26)1113。 (平峰麻由)

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