同賞は2020年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等で優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈呈される賞で、過去には和田竜『村上海賊の娘』(第35回)、辻村深月『ツナグ』(第32回)、柳広司『ジョーカー・ゲーム』(第30回) 佐藤多佳子『一瞬の風になれ』(第28回)など、数々の話題作が受賞している。
『オルタネート』は、昨年12月18日に第164回直木賞へのノミネートが発表されると、あらゆるメディアからの取材が殺到し、今年1月5日には累計発行部数10万部(5刷)を記録。1月21日には『本屋大賞』に初ノミネートされるという朗報も飛び込み、快挙が続いたことを受け、出版元の新潮社はさらなる重版を決定。現在までに累計13万部(6刷)を記録し、ジャニーズ出身アーティストとして初の快挙が続いている。
加藤は「直木賞、本屋大賞に続いて、吉川英治文学新人賞にまで候補にしていただけたこと、大変嬉しく思っております。直木賞、本屋大賞と同じく、予期しないお知らせに驚きと喜びが同時に押し寄せ、ありがたい戸惑いを噛みしめています」とコメント。「吉川英治文学新人賞はエンタメ性に優れた作品が多い印象ですので、自分の著作も仲間に入れてもらえたのかなと思うと、感慨もひとしおです。選考会まではまだ時間がありますが執筆へのエールと受け取り、緊褌一番、次作へ取り組みたいと思います」と創作への意欲をつづっている。
本作の舞台は、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代。調理部部長で品行方正、しかし、あるトラウマから人付き合いにコンプレックスを抱える蓉(いるる)。母との軋轢(あつれき)を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネート信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、かつてのバンド仲間の存在を求めて大阪から単身上京した尚志(なおし)。出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、やがて訪れる「運命」の日。3人の未来が、人生が、加速する――。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描いている。
【第42回 吉川英治文学新人賞の候補作品】(作家名の五十音順・敬称略)
・芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
・加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)
・武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社)
・辻堂ゆめ『十の輪をくぐる』(小学館)
・寺地はるな『水を縫う』(集英社)
・野崎まど(※崎はたつさきが正式)『タイタン』(講談社)
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