●800億円へ真価問われる
家庭用ドレッシングは19年、サラダ周りの競争激化や、食用油の健康価値見直しを背景とするノンオイルの苦戦などにより前年比約3%減となる745億円(市場規模・本紙推定)で着地した。想定外となった前年比減は18年に続き2年連続。これまで安定成長を継続してきた同市場だが、800億円を目前にして足踏みが続き、20年は業界としての真価がまさに問われる。
協会による19年のドレッシング生産量は、液状ドレッシング(乳化・分離タイプなどスタンダード品)が同1.1%増の10万4456t、ノンオイルドレッシングが同19.4%減となる1万8755tで着地。液状は18年から増加に転じたが、ノンオイルは12、13年の大幅増産以降6年連続で減少し、遂に2万tを割った。
ノンオイルの大幅減少の背景には多くの要因が考えられるが、スタンダードタイプがおおむね堅調に推移したことを考慮すれば、食用油に対する積極摂取意向が大きく影響したと考えられる。また、マヨネーズと同様、低糖質志向の中、カロリーを判断基準とする購入心理が減退し、これが実質的な需要減に直結した。いずれにせよ、かつて市場をけん引してきた一大ジャンルとして、根本的なてこ入れが不可欠であることは間違いない。
スタンダードタイプは生産量は堅調なものの、特にサラダ周りでの他調味料(オリーブオイルや塩、手作りドレなど)との競争激化が進む。ただし、世界屈指のフレーバー(味種)展開は健在であり、売場面積もおおむね安定して推移。家庭内常備本数も3~4本を確保し、メーカーサイドの開発意欲は依然高い。20年はアマニ油やオリーブオイル、ごま油などオイルの独自性・差別性(健康感やおいしさ)を前面化した取組みが目立ち、今春注目のジャンルに位置付けられる。
20年の同市場だが、総じて見ると、(1)サラダ周りでの差別化訴求(2)ノンオイルの根本的テコ入れ(3)汎用性用途を通じた裾野拡大–の3点が回復基調へのカギを握る。(1)、(2)は野菜調味料の側面から、競争激化や逆風の影響を最小限にとどめる意味で必須であり、たれやソースなどとしての用途を狙う。(3)は野菜相場などに左右されないプラスオンとしての機能を持つ。
サラダを含めた野菜摂取意向は依然旺盛で汎用性用途は調理時間短縮へのニーズなどを背景に十分な伸びしろを持つ。これに加え、各社百花繚乱(りょうらん)のメニュー提案が軌道に乗れば、800億円突破の筋道も再び見えてくるだろう。
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February 18, 2020 at 10:12PM
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