マヨネーズ・ドレッシング市場は旺盛な野菜摂取意向を背景に需要を獲得。定番市場として売場を構築するとともに、近年では調理用途やソース使いなど万能・汎用(はんよう)性を生かした裾野拡大も進んでいる。一方で、特にドレッシングではサラダ周りの競争激化を背景に、元祖・サラダ調味料としての課題も浮上。今春は各社から注目の新商品が続々登場し、世界屈指の品質・おいしさ・フレーバー戦略で上昇基調を図りたい。
家庭用でもサラダメニューは多様化
全国マヨネーズ・ドレッシング協会の調査によると、2019年(1~12月)のマヨネーズ・ドレッシング類の国内生産量は、2018年比0.2%減の40万9905トンとわずかながら2年連続で前年を割った。ただしマヨネーズは久しぶりに明確な前年超えを記録、ドレッシングもスタンダードタイプは総じて好調に動いた。
生産減は2018年の野菜相場高騰とは様相が異なり、販売環境や競合市場(特にサラダ周り)の台頭が影響。ドレッシングはノンオイルが、マヨネーズは健康訴求(カロリーオフなど)が減少し、両市場ともにスタンダード品が好調・堅調だったことから、従来までのカロリーを基準とする商品選択心理も変化したと思われる。
一方、伸びしろであるマヨネーズの万能性(料理用途)訴求、ドレッシングの汎用性(ソース使いなど)訴求は着実に拡大。特にマヨネーズはここ数年認知され、今後は本格的な実用段階に移行することが予想される。
多彩なメニュー提案にも注目したい。特にサラダ関連ではフードサービス分野でキユーピーが提案する「ペイザンヌサラダ」は要チェック。サラダの健康感はもちろん、肉や卵によるボリューム感、見た目の手作り感やカスタマイズ性などヒットの要因が揃う。
家庭用でもサラダメニューは多様化が進み、各社ともに積極的に情報を発信。春野菜シーズンの活性化の後押しに期待したい。
マヨネーズ市場は久しぶりの前年超え
家庭用マヨネーズ(一部フィリング含む)は2019年、前年比約4%増の560億円(日本食糧新聞推定・市場規模)で着地し、久しぶりの“明確な前年超え”を果たした。生産量は同協会調べではレギュラータイプが同2%増の22万5239トン、カロリーオフなど健康訴求タイプが同2.6%減の6万1392トン。万能調味料としての料理用途は依然着実に拡大、消費量ベースでは約半分が相当すると推定される。
レギュラータイプは生産量ベースでは同2%増だが、実需を含めた市場規模はそれ以上に伸長したとみられる。原料である食用油の健康的価値への注目に加え、低糖質性も見直され、従来までネックであったマヨネーズ摂取そのものに対する誤った“罪悪感”がある程度払拭(ふっしょく)された点も大きい。
また、最大手・キユーピーの創業100周年に伴う情報発信や露出増も市場拡大に機能。長く微減から前年並みが続いていた同市場を後押しした。
注目の万能調味料提案は、「炒め」「焼き」などの料理用途に加え、「膨らます」「(漬け込んで)軟らかくする」などの用途も着実に拡大。脱・野菜専用調味料として裾野を拡大させ、今後の伸びしろも十分だ。
健康訴求タイプはドレッシングでのノンオイルと同様、レギュラーへのスイッチ化やカロリーを判断基準とする購入心理の減退などにより縮小したが、品位改良とジャンルの多岐化が依然進んでいる。近年では「キユーピーハーフ」「同 ライト」「ピュアセレクト コクうま」などが改良に成功。機能性表示食品やトクホも網羅し、おいしさを担保しながら多様化する健康ニーズに対応している。
2020年は野菜相場や2019年の反動が危惧されるも、まずは伸びしろの多い万能調味料提案に注目したい。キユーピーは通期で提案を加速する考えで、2年連続での“明確な前年超え”のカギを握る。高齢化や有職主婦の増加、単身世帯の増加などを背景に調理の時短化ニーズが加速する中、極めて有望な拡大施策に位置付けられる。
また5月に予定される味の素社「ピュアセレクト」基幹品の東京五輪限定パッケージ品は、2019年のキユーピー100周年に続き露出増につながる可能性が高く、注目したい。
さらには日清オイリオグループの卵不使用品「日清マヨドレ」、日本製粉のアマニ油マヨネーズ、地場企業のこだわり系マヨネーズなど差別性の強い商品も健在。競争激化の進むサラダ周りを“死守”することができれば、大幅増も視野に入るだろう。
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February 20, 2020 at 06:16PM
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