クランクイン! 写真:曽我美芽
昨年、公式YouTubeチャンネルを開設し、約1年で登録者数120万人を超えるなど人気YouTuberの仲間入りを果たした女優の仲里依紗。動画では私生活をさらけ出し、その飾らない人柄が多くのファンを魅了している。そんな仲が、国民的アニメの劇場版最新作『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』にゲスト声優として出演する。しんのすけのような親近感を醸し出す仲に、YouTubeや15年目を迎えた女優業について聞くと「目標は会いに行ける女優」「女優は塩こうしょうみたいなもの」と驚きの本音が飛び出した。
■ 『クレヨンしんちゃん』最新作は家族で見たい“五月病吹き飛ばし映画”
本作は、しんのすけとその仲間たちが体験入学した“天カス学園”で謎の怪事件に巻き込まれるさまを描く、シリーズ初の本格(風)学園ミステリー。仲は“エリートギャル”のアゲハ役を演じる。作品のファンを公言していた仲だが、「映画館に見に行くほど好きだったので『やっと来た』という感じで。プラス、憧れのギャル役だったので、すごくうれしかったです」と満面の笑み。
多くの人に長年愛される『クレヨンしんちゃん』の魅力を聞くと、「一見ふざけてるけど、実は心温まるストーリーや深いメッセージが詰まっていて。“ふざけてるのに、ちゃんとしている”は、私が人生で求めていること。特に映画版はそれを感じることが多いですね」と打ち明け、最新作も「ポジティブになれる“五月病吹き飛ばし映画”。大人もいろいろ気づかされる作品だと思うので、家族で見てほしいです」とアピールする。
■ “しんのすけ&みさえ”に通じる親子関係は「息子のおかげ」
自身のYouTubeでは、“トカゲ君”という愛称で呼ぶ愛息も登場することが多く、しんのすけとみさえのような愛情深い良好な関係性が画面を通して伝わってくる。仲は自由なしんのすけを尊重するみさえの子育てに共感する部分もあると言い、「しんちゃんは5歳児じゃないような5歳児でいて天才。だから、みさえたちはああいう風に子育てができていると思うんです。私の息子も結構しっかりしていて。息子のおかげで自然と今のような子育てができています」。
子育てで気を付けていることを聞くと、「個性を大事にしている」との答えが返ってきた。「マニュアル通りにしたり、人と比べたりすると、個性や自分の芯が潰れて、やりたいことができなくなる。整列した子育てではなく、いろんな人がいていいんじゃないと思うんです。私は母親だけど、自分の人生を楽しんでいて、それに子どもがついてきてくれてる。だから子どもにもやりたいことをやってほしい。それを全力でサポートするし、否定はしたくないです」と口にし、「息子にはしんちゃんみたいな子に育ってほしいし、実写化するなら私はみさえを演じたいですね」と笑みをこぼす。
■「目標は会いに行ける女優」YouTubeで自分を表現する楽しさを知る
自身の核としている個性を、子育てだけでなくYouTubeでも遺憾(いかん)なく発揮している仲。テンションが上がると歌って踊り、愚痴もはくし、爆買いも報告するなど人間味があふれるその姿は、他の女優とは一線を画す。
子育てや家事、女優業の傍らYouTubeの動画撮影・編集はすべて自身で担当。週2本ペースで公開し、今ではその数は100本を超えた。寝ずに作業をすることもあるが、YouTubeを笑顔で「楽しい」と即答し、「これまで偉い大人にカットされていた、今まで見せてこなかった面も全面的に出していますが(笑)。それは自分を信じたいから。誰かに『こうした方がいい』と言われてやるよりも、『こうしていたい』と思ってることを自分で表現できるのは楽しさの一つです」と説明。そのように「自分自身」をさらけ出すことへの怖さについても「あまり感じないですね。さらけ出してるつもりがないんです。これが私。やっとみんな気づいたのねという感じです(笑)」と否定する。
カメラにしゃべり続けるスタイルもあってか、視聴者にとって友達のような身近な存在になった仲だが、「それが目標だった」という。「“会いに行ける女優”みたいな感じになりたくて。住所は公開できないけど、『それぐらいしてもいいよ』的な気持ちです(笑)。私はみんなのコメントやアイコンを意外と覚えていて、本当に友達みたいな感じで。友達はあまり多くない方でしたが、今では地球のあちこちに『いっぱい友達いるじゃん!』って思いますね」。
■ 15年目となる女優業は「塩こしょうみたいなもの」
一方、YouTubeの視聴者からのコメント欄が大きな活力になっているという仲。「いろんな人の意見を見るのがすごく楽しい。役者だけだと作品に対しての意見だけど、YouTubeのコメントは全部私へのもの。普通に愚痴ってただしゃべるだけの回でも『泣きました』『生活感がありすぎて安心しました』と反響があって、みんなこういうことを知りたかったんだなと思いました。また、自分が思い描いてたより、いろんな人生があるんだなとも気付いて。人ってただ言いたいだけってこともあるじゃないですか? コメント欄がみんなにとって身近な人に愚痴を言うようなはけ口になればいいなとも思います」。
そんなYouTubeの存在は日に日に大きくなっているようで、15年目となる女優業はYouTuberとして活躍する上で「やらないといけないもの」と称し、「真面目な女優業は塩こしょうみたいなもの。YouTubeだけだとただのふざけた人になっちゃう(笑)。ここで調整が効いてますね」と驚きの本音も。「本当に無理してないんですよ。人と話すのが好きで楽しくて。私、ハイオク満タンなランボルギーニなのかも」と笑顔を見せた仲。これからもしんちゃんのような天性の明るさと親近感、唯一無二の“個性”で多くの人を魅了していくに違いない。(取材・文:高山美穂 写真:曽我美芽)
『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』は4月23日より全国公開。
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