創業120年以上の歴史がある老舗の石材屋「宮崎石材」(本店・三重県鈴鹿市)は、分割して持ち運びができる本格的な石窯を開発した。これまでは主に、墓石販売が中心だったが、コロナ禍でアウトドア人気が高まっていることから、時流に合わせた新たな看板商品を作ろうと試行錯誤して生み出した。5代目社長の宮崎良太さん(33)は「キャンプ先などで非日常の世界に浸りながら、おいしいピザなどを楽しんでほしい」と呼びかける。
宮崎さんによると、少子高齢化や核家族化が進み、墓地の管理が出来なくなり、墓石を処分する「墓じまい」をする家も出てくるなど、墓石の注文は年々減っているという。
「石を使った新しい商品ができないか」と考えた宮崎さんは、コロナ禍でのアウトドア需要に目を付けた。車の荷台にも積めて、どこにでも運べるようコンパクトな作りを意識し、5カ月ほどかけて2020年末ごろに完成した。
石窯には宇都宮市で採掘される「大谷石」を使用。熱に強いのが特徴だ。幅42センチ、奥行き87センチ、高さ42センチ。重量は約140キログラムと重いが、13パーツに分けられ、1人でも10分ほどで組み立てられる。収納も簡単で、広い土地だけでなく、自宅の庭でも使える「気軽さ」が売りだ。
耐熱ガラスの窓から焼き加減が確認できるだけでなく、ハンドルを使って中のテーブルを回転できるので、釜の温度を下げずに食材を均等に焼ける。宮崎さんは「冷凍のピザでも皮がパリッと焼き上がり本場の味が楽しめる」と自信を持つ。ピザ以外にも、遠赤外線効果で、タマネギやじゃがいもなどの野菜も甘みが強くなり、肉もふっくら柔らかく焼き上がるとし、「素材の良さが引き立つ」のも特徴だという。22年夏ごろまでに受注販売をする予定で、価格は未定だが30万円前後を予定している。
宮崎さんは「決して金額は安くないが、石窯ならではの料理や、組み立てのプロセスを楽しんでほしい」と話している。問い合わせは本店(0120・820・743)。【谷口豪】
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