キユーピーが7日発表した2021年12月~22年5月期の連結決算は、純利益が前年同期比8%減の88億円だった。食用油など原材料価格が高騰する中で打ち出した価格転嫁はマヨネーズに比べてドレッシング類で苦戦を強いられた。原材料の高騰は同社の期初の想定よりも進んでおり、店頭価格に今後反映できるかが利益確保のカギを握る。
売上高は4%増の2075億円だった。前年同期に低迷した業務用調味料の販売が、新型コロナウイルス下の行動制限の緩和で回復。海外事業も東南アジアや米国などでの販売が好調で同21%増の298億円と大きく伸ばした。業務用や海外の好調で22年11月期の連結売上高は前期比6%増の4300億円と、従来予想から150億円上方修正した。
21年12月~22年5月期の営業利益は前年同期比2%減の142億円。同社が期初に想定した食用油の取引相場は1キログラム当たりの平均で前年同期比約4割増の361円だったが、実際は373円まで膨らんだ。鶏卵の価格も21年12月~22年2月に179円だったが、22年3~5月に208円まで上昇した。
3月にはマヨネーズやドレッシング類の出荷価格を引き上げたが、価格転嫁の浸透で濃淡がみられる。全国のスーパー約470店のデータを集めた日経POS(販売時点情報管理)情報によると、5月のキユーピーのマヨネーズの平均価格は前年同月比19%上昇したが、ドレッシング類は4%上昇にとどまった。値上げで販売数量が共に減少する中、経営企画部の川辺慎一部長は「マヨネーズはほぼ前年並みの売上高だが、ドレッシングが苦戦した」と話す。
キユーピーの国内シェアはマヨネーズが約5割に対して、ドレッシングは約4割。いずれも国内首位だが、ドレッシングは競争が激しく、販売減の中で価格転嫁も思うように進まなかった。
食用油など原材料の高騰は期初の想定より進んでいる。22年11月期の原材料高騰による減益要因を当初は84億円と見込んでいたが、110億円に拡大する見通し。キユーピーは10月、マヨネーズについて21年7月、22年3月に続く3回目の値上げを実施する。
同社は10月実施分を含めた値上げで22年11月期に79億円の増益効果を見込む。野村証券の藤原悟史リサーチアナリストは「ドレッシングの値上げによる販売数量の落ち込みが大きかった。マヨネーズは10月に再値上げを予定しており、(価格転嫁とともに)販売数量の減少をどこまで抑えられるかが焦点だ」と話す。
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