ピザの配達をしていた少年が、W杯の舞台でクロスの配達人となっている。フランスMFユスフ・フォファナ(23=モナコ)は異色の経歴の持ち主だ。少年時代にエリート選手養成機関「クレール・フォンテーヌ」に所属していたが、15年に退団。10代で一時サッカーから離れ、ピザ屋の配達で生計を立てていた。

「それはお金を稼ぐための最良の方法だったし、そこから夢につながったんだ」。パリ北部にあるドランシーというアマチュアクラブでボールを蹴り続け、2年後にストラスブールのユースチームへ加入。再びプロへの道が広がった。

人生に回り道は付き物だ。「僕には疑問があったし、どうすれば前に進めるか知るべきだった」。20年に強豪モナコへ移籍し、今年9月には代表デビュー。W杯でもここまで全4試合に出場している。準々決勝へ「緊張しかない」と笑うが、そのモチベーションは高い。持ち前のクロスボールで、次は勝利の味を届けたい。