静岡の名物はいろいろあるが、県民が必ず挙げるものの一つにサクラエビがある。透明感のある美しい桜色をした体長4~5センチの小さなエビだが、国内で漁が行われているのは駿河湾だけだ。郷土の味として親しまれているサクラエビを使った静岡市内のレストランが話題と聞き、足を運んでみた。
JR静岡駅の南口からほど近い、住宅や商店が立ち並ぶエリアにある「Capri(カプリ)」という小さな店だ。イタリア国旗をイメージした緑色の外観が映える。
夫婦で飲食店を
創業したのは、JR東海で三島駅や静岡駅、浜松駅などの助役を務めた漆畑喜之さん(53)と料理研究家の貴子さん(52)夫妻。喜之さんは「第二の人生は夫婦で飲食店を開業することが夢だった」という。この店に、昨年秋から地元由比のサクラエビを使った新メニュー「しらすと桜えびの駿河湾pizza
」(1800円)が登場した。
早速注文してみると、ピザにはサクラエビとシラスが半々に分けてのせられ、中心部の葉物野菜の緑色が鮮やか。食べてみると、サクラエビの繊細な歯ざわりがしっかりと残り、独自の小麦粉で作った生地と焼き方で、もっちり感とカリッと感を兼ね備えている。サクラエビの風味と生地の食感がチーズの香りとあいまい、静岡らしい味覚と言える。
サクラエビはクセのない食材だが、地元でもあまり好きではないという人もいるとか。しかし、貴子さんによると「この料理がきっかけで好きになったという人もいる」という。
夫妻は静岡の出身。喜之さんによると「興津(静岡市清水区)で育ち、日ごろからサクラエビが身近にあった。これをイタリアンに取り入れたいという気持ちが強かった」という。新メニューは、そんな喜之さんの思いと料理教室の講師も務める貴子さんの技術やノウハウが生み出した逸品だ。
「駿河湾の宝石」
地元で愛され「駿河湾の宝石」ともいわれるサクラエビは200メートル以下の深海に生息するが、夜間は上層に浮上する。このため、漁は夜間に行われる。
心配なのは近年の不漁だ。県によると「海水温の上昇や黒潮の蛇行など不漁の原因はいろいろ考えられるが、令和5年の春漁は豊漁だった。資源量はゆるやかな回復基調にあるが、引き続き状況を注視していきたい」(水産資源課担当者)としている。
一方、サクラエビの最大の水揚げがある由比漁港は、漁の時期の週末ともなると首都圏や中部圏からの観光客で大いににぎわう。由比漁港の近隣では、豆腐などと一緒に煮た漁師料理発祥の「沖あがり」という郷土料理が楽しめる。静岡市内では生サクラエビや名物料理のかき揚げなどが楽しめる店も多い。
この他、同市には徳川家康が眠る久能山東照宮や弥生時代の遺跡である登呂遺跡など、見どころも多い。名所を巡り、レストランでサクラエビに舌鼓。静岡ならではのおすすめコースだ。
(青山博美)
アクセス
Capri(カプリ)(静岡市駿河区稲川1-2-36) JR静岡駅南口から徒歩5分。営業時間はランチが午前11時半~午後2時、ディナーは午後5時半~9時。ただし、月曜はランチのみ、土曜はディナーのみ。日曜定休。【問】070・9095・8833。
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