ミスタードーナツなどの外食事業を展開する、清掃用具レンタル大手のダスキン<4665>が2024年1月末に、イタリアンレストラン「ナポリの食卓」などを展開するボストンハウス(群馬県桐生市)の持ち株会社の健康菜園(同)を子会社化する。
外食企業を傘下に収めるのは、2016年にマレーシアのドーナツチェーンBig Apple Worldwideを子会社化して以来、実に7年ぶり。
同社は2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画の中で、既存事業との相乗効果が見込める領域などで、M&Aを活発化させる方針を打ち出している。
今回のM&Aはこの方針にそったもので、既存ブランドとは異なる立地や客層、利用動機などに対応する新たな業態の開発につながるという。
ピザの品ぞろえは、売上高構成比で30%ほどを占めるフード事業で、M&Aを活性化する引き金となるだろうか。
貢献度の高いフード事業
ダスキンが傘下に収めるボストンハウスは、北関東を中心に展開する「ナポリの食卓」13店舗のほか、とり料理店「とり弁鶏」5店舗など合計23店舗(うち直営22店舗)を展開している。
主力ブランドである「ナポリの食卓」は、本場の石窯で焼き上げたピザを提供しており、2023年4月期の全社売上高は22億8000万円で、営業利益は2448万円だった。
健康菜園の2022年9月期の売上高は113億500万円で、営業損益は6億2100万円の赤字だった。
ダスキンはフード事業として、ミスタードーナツ(997店舗)や、とんかつレストランの、かつアンドかつ(15店舗)、パイ専門店のパイフェイス(1店舗)などを運営している。
2023年3月期の売上高は1704億9400万円(前年度比4.5%増)で、クリーンサービス事業(ダストコントロール商品のレンタルと販売)を主力とする訪販事業の売上高が、13億4100万円(前年度比1.3%増)の増加にとどまったのに対し、ミスタードーナツが好調だったフード事業の売上高は50億6100万円(同11.6%増)増加した。
利益の方もフード事業の貢献が大きく、訪販事業の営業利益が24億2500万円(同23.0%減)減少したのに対し、フード事業の営業利益は18億5300万円(同51.2%増)増加した。
営業利益目標は2.66倍
ダスキンは中期経営計画の最終年となる2025年3月期に、売上高1830億円、営業利益120億円の目標を掲げる。売上高は2024年3月期予想(売上高1787億円、営業利益45億円)比2.4%増と伸び率はさほど高くないが、営業利益は2.66倍の大幅な増加となる。
その中期経営計画では、既存事業との相乗効果が見込める領域のほか、地球環境保全や少子高齢化、地域創生などに関わる領域でのM&Aやベンチャー出資などを積極化させ、新技術の導入やビジネスモデルの再構築に取り組む。
目標達成に向け業績貢献度の高いフード事業分野でM&Aが増える可能性はありそうだ。
文:M&A Online
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