7&iホールディングス(HD)は過去6年の間に約250億ドル(現在の為替レートで約3兆7160億円)以上を投じ、買収を通じて全米トップのコンビニチェーンとなったが、井阪隆一社長(66)はまだ不十分だと感じている。
細分化が進んだ米国のコンビニ業界は、上位10社を合計してもシェアは全体の2割弱にすぎない。井阪氏は今後の事業展開について、良い機会があれば合併・買収(M&A)も積極的に展開して「店舗数を増やしたい」と、1月下旬のブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べた。
同氏のこうした強気を支えるのは、おにぎりやサンドイッチなど新鮮な加工食品で確固たる地位を築いた日本の成功体験だ。
平均的なセブンーイレブンは1店舗で約700種の新鮮な加工食品を扱う。年間約2500もの新製品が販売され利益率も高く、コンビニ業界において「セブン一強」と言わしめる原動力になった。セブンのこうした稼ぐ力は、海外でM&Aするための重要な原資となる。
注記:各社のIR資料を基にブルームバーグが作成、ファミリーマートは事業利益で算出
頼れる収入源
「とりわけ大事なのは フレッシュフード」。井阪氏は米国ビジネスの成功に同社の加工食品がいかに大事かを繰り返し強調する。現在、米国ではオリジナルのピザやタコス、ラーメンなどを展開するが、井阪氏が年に5-6回訪れる際には、自身で試食して味を確かめる。
2021年に同社は2兆円以上費やしてスピードウェイを買収したが、ガソリンスタンド併設型のコンビニチェーンはいまも売り上げに占めるガソリンの割合が高い。電気自動車(EV)への移行が流れになる中、いつまでも頼れない。
昨年、パートナー企業で弁当のパスタなどを生産する わらべや日洋ホールディングスが米国に進出し、現地に工場を建設した。日本のクオリティーを再現する試みで、持続的な売り上げの伸びにつなげたい考えだ。
7&iHD井阪社長の続投可決、物言う株主退ける-賛成76.36% (4)
井阪氏が米国事業を成功に導くことは、同氏の手腕に疑問を呈した物言う株主からの信任にもつながる。昨年の定時株主総会では、コンビニ事業への資源集中が手ぬるいとして、 バリューアクト・キャピタル・マネジメントが井阪氏の取締役選任案に 反対した。続投は決まったものの、賛成比率は約76%と前回を下回り、一部投資家らが新たなリーダーシップを望む結果が浮き彫りになった。
アマゾン意識
井阪氏がフレッシュフードと並んで大事にするのが、その他の独自企画商品(プライベートブランド)や、注文から最短30分で商品を届ける「7NOW(セブンナウ)」配送サービスだ。「お客さまの近くにあるお店ですから、デリバリーの拠点としても、 アマゾンとちょっと違う存在になれる」と自信を見せる。
井阪氏は「ウーバーイーツとアマゾンを組み合わせたようなとてもユニークなサービス」だと表現する。売り上げ上位には、パーティーの途中にちょっと足りなくなったロックアイスや、小腹がすいたときにすぐ食べたいフライドチキンなどが並ぶ。
「今までお店は買い物に来ていただく場所だった。これからは物流、そこからお客さまに届ける場所、そういう形にも変わってくる」。7NOWは米国内で 展開する1万2792店(23年9月末)のうち約6000店舗に導入済み。フレッシュフードと配送サービスを武器に、アマゾンが圧倒的存在感を示す世界最大の小売市場に挑戦する。
米国における7NOWの取り組みは「逆輸入」して日本でも試みられている。高齢化や単身世帯の増加、共働き世帯の増加で、日本人の「行動する範囲がどんどん狭くなっている」ことで、「品ぞろえを変えていけば、まだまだ成長できる」と確信する。
セブンは米国以外への進出も視野に入れる。30年までには10の国・地域へ新たに出店して30の国と地域へ拡大する 計画だ。井阪氏は成長し続けるために「季節の変化、あるいは人口動態の変化、それぞれの変化に敏感に自分たちを変えていかなければならない」と語った。
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(最終段落の誤字を訂正します)
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