古賀大己
出荷できなくなった山梨県特産の桃を使って、東京・白金台の結婚式場「八芳園」がピザを作り、販売中だ。フードロスを無くして農家の収入も増やしたい狙いだ。八芳園では全国各地の特産品を使った新しいレシピやイベントで、地方活性化に一役買っている。
桃は収穫前に落下して傷がつくなどして、出荷ができなくなったものを使う。八芳園が桃を買い取り、北海道江別市のピザ店と連携して、冷凍の「フルーティピッツァ」にした。ピザは園で開催されるレセプションで提供されることもある。近くの八芳園セレクトショップ「MuSuBu」のカフェでは、常時提供されている。
フルーティピッツァに桃を提供している山梨市のフルーツ農家、秋山晴英さん（57）の農園では、出荷前に落下するなどして、桃の3～5割が出荷できないという。残りはジュースなどの加工品にする場合もあるが、価格はかなり低くなってしまい、廃棄してしまうものも多いという。
秋山さんは「一生懸命、一年かけて作ったので、生で食べてほしい。こうした取り組みはありがたいし、桃のおいしさを東京の人にも知ってもらって、山梨にも足を運んでもらえたらうれしい」と話す。
多くの来賓を迎える八芳園では、岩手県久慈市や宮崎市など、全国13の自治体や企業や学校と提携し、地元の特産を使ったイベントを開催したり、新しいグルメを生み出したりしている。こうした取り組みは、SDGs（持続可能な開発目標）の観点から、特に海外客に好評で、新しいおもてなしにもつながった。
八芳園で事業を展開する矢内加奈さんは「食べ物を通して、地元の持つストーリーも一緒に、世界中のお客さんに伝えたい。付加価値を高め、地方の経済に貢献したい」と話していた。（古賀大己）
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