Pages

Thursday, March 14, 2024

大好きなピザで恩返しを 津波被災がきっかけ 転機となったあの日〈宮城〉|FNNプライムオンライン - FNNプライムオンライン

ssabutkelapa.blogspot.com

甚大な被害をもたらした東日本大震災は、多くの人の生き方にも影響を与えました。東松島市でピザ店を営む男性もその一人です。震災の経験がさまざまな人への感謝や恩返しにつながっているといいます。

東松島市赤井にあるピザ専門店「ディタフ」。
手作りの窯で焼き上げた「ナポリピッツァ」が人気のお店です。
一番のお薦めは、東松島名産のノリをたっぷり使った「アルガマリーナ」。

オーナー 佐々木幸二さん
「オリーブオイルではなく、ごま油を使っていますのでちょっと和風な雰囲気のピッツァでお召し上がりいただけると思います」

オーナーの佐々木幸二さんです。
今は本格的なピザを焼き上げていますが、震災前はピザとは無縁の土木会社に勤めていました。
地震が起きた時は、川の堤防を拡張する工事現場にいたといいます。

佐々木幸二さん
「私がいた場所は堤防の上なんですけれど、そこが盛り土が大きくされている、てっぺんみたいなところだったので、そこの地割れが始まってきまして、そのまま機械ごと下の田んぼ側、川の反対側の田んぼのほうに崩れて押し流されるんじゃないかって感じになりまして」

生後半年の娘と妻がいる自宅へ戻り、2人を連れて近くの学校へ避難しようとしたとき、津波が来ました。

佐々木幸二さん
「高い所に行くしかない。丈夫な建物で高い所っていうと、目の前の学校なので。もう入るときかな、津波が来始めたんですよね。ダーッと線路側のほうから黒い水が流れてきまして」

自宅は床上まで浸水し、佐々木さんはしばらく、2階部分が無事だった倉庫で過ごしたといいます。

家族は無事だったものの自宅は取り壊すことになり、家財のほとんどを津波で失いました。これが佐々木さんの人生の転機になったといいます。

佐々木幸二さん
「何もなくなっちゃったんですよ、この倉庫にあったものも。下に置いていたものも全部使えないので、それも全部捨てちゃったらすごい空間ができちゃったんですね。ナポリピッツァっていうのがやりたいなとは思っていたんだけれど、あれ、そういえばこの空いたスペースにピザ窯って作れるなって思って」

何もなくなってできた空間を生かしてピザ窯を作った佐々木さん。
独学で作り始めたピザが佐々木さんの新たな人生を切り開きました。

佐々木幸二さん
「焼いて作ってみて『おいしい』って言ってもらえると、けっこう調子に乗っちゃて。この商売もいいなって思い始めるようになりまして」

すべてがゼロからのスタート。
佐々木さんはお店を始めるにあたって、地元・東松島への恩返しもしたいと考えました。

佐々木幸二さん
「これが野蒜(のびる)岩なんですね。強度がないのでこんなふうに割れちゃう地震で」

東松島市で古くから家の壁や塀などに使われてきた石材、野蒜岩です。
凝灰岩の一種で、加工のしやすさから重宝されてきましたが、その半面、他の石材に比べてもろいため、震災後は使われなくなったといいます。

佐々木幸二さん
「断熱性には非常にいいし成形しやすいんですよね。のこぎりで切れるし」

佐々木さんは、野蒜岩をピザ窯に採用。
メニューに地元の食材を使うのも、改めて地元の良さと向き合ったからでした。

佐々木さんは震災後、ボランティアにも参加するようになったといいます。すべては震災の経験がきっかけでした。

佐々木幸二さん
「ああいう想像を超えるような災害があったから、私もいろんな人の優しさみたいなものにも触れられたし、もちろんこうやってピザ屋始めてたくさんの人に来ていただけるようになったし、そういうふうに自分では震災があったからそんなふうに思うようにもなったし、行動できるようにもなったんじゃないかなとは思います」

震災の経験を、つらく苦しかっただけで終わらせない。
津波で被災した地元をこれまで以上に盛り上げるために。佐々木さんの恩返しは続いています。

仙台放送

仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 大好きなピザで恩返しを 津波被災がきっかけ 転機となったあの日〈宮城〉|FNNプライムオンライン - FNNプライムオンライン )
https://ift.tt/wIubtoS

No comments:

Post a Comment